私がアスリートのエネルギー源に炭水化物をオススメする理由

エネルギー

自分がアスリートの食生活を講師したりサポートする際、炭水化物の重要性と活用方法についてよく話をします。一方皆さんは、「炭水化物は体に悪い」「糖質制限が良い」などの真逆の話もよく耳にするかもしれません。アスリートにとってどちらが正しい情報なのでしょうか。

アスリートにとっての炭水化物の重要性

炭水化物(糖質)は、アスリートにとって最も重要な栄養素の一つです。体のエネルギー源となり、パフォーマンスを向上させ、身体の回復を促進し、怪我のリスクを減らす役割があります。

炭水化物が果たす役割は、他の栄養素で代替することは難しい、適切でないと私は考えています。それは炭水化物と同じくカロリーを持つ脂質とタンパク質についても同様です。

脂質とタンパク質が炭水化物の代わりにはならない理由

脂質の場合:

脂質をエネルギーにする体の仕組みに、クエン酸回路という化学反応があります。この回路は、脂質や糖質などの栄養素から、体が使えるエネルギー(ATP)を効率よく作ります。ただし、脂質をうまくエネルギーにするには、糖質が欠かせません(リンク)。

これは例えると、蒸気機関のようなものです。脂肪酸は「石炭」、クエン酸回路は「蒸気機関」、そして糖質は「火種」の役割を担います。つまり糖質がないと、脂質はうまくエネルギーに変えられないのです。

確かに糖質も脂質も、最終的にはクエン酸回路でエネルギーになります。ですが脂質がスムーズにエネルギーになるには、結局糖質が必要不可欠なのです。

タンパク質の場合:

タンパク質をエネルギーとして使うには、まずタンパク質を糖質に変える必要があります。この反応を糖新生と呼びます。そしてこの過程でタンパク質から窒素が外れます。行き場を失った窒素は、なんと体内で毒性の強いアンモニアになってしまいます

体はアンモニアを無害な尿素に変えますが、この作業は主に肝臓で行われます。タンパク質をエネルギーとして使おうとすると、炭水化物をエネルギーに使う時には必要のない負担を肝臓に課してしまうのです。

この負担のせいで、運動能力が落ちたり、怪我をしやすくなったりする可能性があります。この点からタンパク質を主なエネルギー源として使うのを私はオススメしません。

アスリートの食生活は、バランスが鍵

炭水化物さえ摂ればいい。と伝えたい訳ではありません。アスリートにとって理想的な食生活とは、炭水化物を十分に摂取し、タンパク質は筋肉の修復と成長のために適切に摂り、健康的な脂質も適量含め、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素もバランスよく摂取することです。

各人の現状や目標やニーズに合わせた栄養プランを立てることが重要です。結構難しいです。だから自分のような専門家がいるのです。

まとめ

アスリートにとって、炭水化物は欠かせない栄養素です。適切な炭水化物摂取は、パフォーマンスの向上につながり、効率的なエネルギー利用を可能にし、身体の回復を助け、怪我のリスクを軽減します。バランスの取れた食事と適切な栄養摂取こそが、アスリートの成功の鍵となります。自分の体と向き合い、最適な食生活を見つけていきましょう。


この記事のAI要約
・炭水化物はアスリートの主要エネルギー源であり、他の栄養素では代替困難
・脂質は単独でエネルギー源として非効率的、糖質が必要
・タンパク質をエネルギー源として使用すると肝臓に過度の負担
・バランスの取れた栄養摂取が重要、特に炭水化物を十分に摂取
・適切な炭水化物摂取でパフォーマンス向上、回復促進、怪我リスク軽減

タイトルとURLをコピーしました